にきにきにっき

広告をつくる仕事をしている人のちょっとした日常

記憶に残した方がいいだろう。

写真が嫌いだった。
どこへ行ってもカメラを持ち歩き、
シャッターを押すという行為がどうしても好きになれなかった。
本当にその場所の雰囲気を楽しめているのかと。
写真という記録に残すことは手段であるはずなのに、
いつしか目的になってしまうことが怖かった。
どこかへ旅行したとしても、写真は撮らなかった。
当時付き合っていた彼女はそんなわたしを不思議に思っていただろう。
「カメラは持って行かないの?」とよく聞かれたものだ。
「記録に残すより、記憶した方がいいと思うから」と、
今思えば意味不明な答えをしていた気がする。
記憶なんて時とともに風化してしまうのに。
もしかしたら記録に残すことで
思い出の記憶が後に甦ることを怖がっていたのかもしれない。
はたまたカメラという荷物がひとつ増えることを
億劫に思っていただけなのかもしれない。




長々と語ってしまったが、
今では記録に残すことが大好きである。