にきにきにっき

広告をつくる仕事をしている人のちょっとした日常

2011年 新聞・テレビ消滅

現在、広告会社で働いています。
広告会社のビジネスモデルは、
電通の吉田秀雄がつくりあげた、
媒体枠を仕入れ、手数料を乗っけて売るというものから
大きくは変わっていません。
マスメディアとともに成長してきた業界なのです。


そのマスメディアが危機に瀕している、と言われています。
従来のビジネスモデルが崩れかけているのです。
ネットによりコンテンツが乱立し、
テレビ、新聞、雑誌、ラジオ以外からも
情報を得ることが容易になりました。


誰もが毎朝新聞を読み、娯楽はテレビという時代は終わったのでしょう。
小学生のとき、人気のあるテレビ番組を観ていないと話題についてけない、
ということがありましたが、
今でもそんなことはあるのでしょうか。


広告会社は、
「テレビもまだまだ観られている」
「信頼できる情報は新聞から」
といった調査結果を出しているでしょう。きっと。
それは結果ありきの調査なので、意味がないと思っています。
個人の感覚として、ふれるメディアは多様化しています。
テレビにしても地上波だけでなく、BSもCSも観る。
新聞は読まない。情報はtwitterから。
雑誌は意外と買うかな。少なくともSPAは読んでる。サイゾーも。


マスメディアのビジネスを考えたとき、
収入の多くは広告費で、支出は制作費、人件費など。
今までは媒体枠がうまっていた。
うまることを前提に、かけられるコストを算出する。
では、この広告枠がうまらないとしたら。
収入が減り、支出はそのまま。利益が減ってしまいます。


広告がうまらない理由はたくさんあるでしょう。
広告主の業績の悪化。
媒体効率の悪化。
企業の宣伝部が社内を説得できない。
広告としてのおもしろい売り物がつくれない。
などなど。


広告の話をしてしまいましたが、
では新聞・テレビの売り物はいったい何なのでしょうか。
現状の比率では媒体枠のように思えてきます。
でも、本当は提供するコンテンツのはずなのです。
テレビ局はテレビ番組だし、新聞は新聞記事。
コンテンツがおもしろければ、
視聴者、読者は増えるし、
そうすると広告も集まるようになるのでは?


今はここにも問題があるような気がしています。
記者クラブ問題はそのうちのひとつ。
イメージでは、記者は自分の足で情報を拾い、
記事を書いているもの。
それは違った。
実際は記者クラブ発表を編集しているだけ。
新聞記事のほとんどは記者クラブ発表。
よくよく考えてみると、
テレビも新聞も会社は違えど同じ情報が流されているのは
そういうことなのです。


それなのに。
新聞は自分たちの記事が優れているから読者がいる。
テレビは自分たちの番組が面白いから視聴者がいる。
と勘違いしてしまった。
ただ、選べなかっただけなのです。私たちが。


幸運なことに。
テレビ局は会計上、利益剰余金が大量にあります。
今までのビジネスが順調だったから。
利益剰余金があるということは投資することができます。
コンテンツに力を入れるようになったのならば。
有益なものを視聴者に提供できるようになったならば。
少なくとも消滅することはなくなるでしょうね。

2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)

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